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         心も耕す元気野菜づくり −吉田俊道さんの挑戦−
                    (月刊誌「むすび」平成17年12月号より抜粋)


「ピーマン、なす、きゅうり、キャベツ他ほとんどの野菜が硝酸や亜硝酸が多いと苦くなります。そして土づくりが不十分なほど、化学肥料を多用するほど多く含み、味だけでなく常食すると体に深刻な影響をもたらします。疲れやすさ、貧血、不妊症、ガンだけでなく急増している糖尿病との関係が強く疑われています。」


「赤峰さんから『虫は神様なんだ』と聞いて、なるほどとわかってたつもりだったんです。でも、いざ自分の畑で、ほんとに虫の来るものと来ないものがあって、食べたら、虫が来る方が苦かったと知った時は、涙が出ましたよ。うれしかった。こんな世の中だったんだと思ってね。だって、虫はほんとに殺す必要がなかったんだもの。ほんとに”虫のいい話”があるんだっていうことがわかって、あの時は感動したんですよ。その瞬間、公務員を辞めてよかったなあって思いました。辞めてなかったら、この感動に出会わなかったから」


 生命力の低いそんな土は、化学肥料を投入しないと作物を育てることができず、そうすると水に溶けた窒素肥料が強制的に吸収されて、人間に有害な硝酸・亜硝酸が多く含まれるようになります。すると虫に食べられやすくなるので農薬をかける、ということになってしまいます。
 無農薬栽培で虫食いだらけになるというのは、農薬を使用することでなんとか育つ野菜、ということです。これを無農薬で病虫害を寄せつけずに育てようとすれば、基本となる土づくりが肝心になります。


「敵を殺す必要はない。でも、一般の人はみんな、全てを殺して自分が生き延びる世界にいるわけでしょ。病原菌は全部殺したい。無菌化したい。野菜を食べたいけど、野菜には虫という敵がいるので、害虫を殺す。害虫と人間の戦いで、放っといたら害虫に食べられるから、人間様が食べたいから、害虫を殺して、人間が食べるんだと思ってるわけですよ。あくまでも競争社会の中に生きてるわけですからね」
 − 敵を殺さない、敵をつくらないというのは、突き詰めると「敵はいない」ということ。


 不健康な野菜や不健全な部分だけをわざわざ食べて、しかもそれを土に戻して次の生命の材料にしてくれる−。実際、虫たちは不健全なものを消化する特別な力をもっているそうで、まさに虫たちは、人間たちと争わない部分で、私たちの生きる丸ごとの世界である地球の循環をしっかりと担ってくれているのです。
 野菜に不健全な部分ができると聞くと、人間にたとえれば病気になるということを連想します。
 吉田さんは著書で次のように書いています。
 「野菜が老化したり不健全な状態になれば、病害虫が来て悪い部分を食べて再び元気にしてくれるように、人も不健全な体になると病原菌がやってきて病気を通して毒を出して健康になります。 (中略)病気は何も悪くないのです。病気のお世話になる側の不健全さ弱さが問題なのです。無農薬で野菜を育て観察していると、このことが本当によく実感できます」








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